サラーラでのバストラブル

サラーラには、公共の乗り物がないのでツアーに入りました。
ツアーには、いつも現地ガイドのほかに船のスタッフが同行します。
スタッフは、エンターテインメント所属のダンサーが付くことがほとんどです。
彼らは高齢者ですが、経験豊かで気配りも豊かなのでいつも安心できました。
ところが今日は若いお兄さんが同行したのです。

英語が十分でない私は、必ずツアーバスを下車する際には
スタッフにバスに戻る時間を確認し、今まで1度も問題はありませんでした。

そして今回、ゴールド・スークで下車して買い物後、時間よりかなり前に
バス下車地点に戻りましましたが誰もいません。
早すぎたのかと、しばらく待ってみましたが誰も来ません
心配になりスークまで戻ると5人のツアー客がやってきて「ここで間違いない」というので
また元の場所に帰りましたが、その後バスも来ず、他のツアー客も戻ってきません。

ここで私の不安は的中。どうやら取り残されたらしいのです。
暑い中、いくら待っても誰も来ません。時間は昼下がりシエスタの最中ですから、
通り過ぎる人も、車もありません。

私達は、事態を把握。不安が募ります。出港までに戻らなければ、ここサラーラに置いて行かれますので、
なんとしても定刻までに港に帰らなければなりません。
それで協議の結果「どうにかしてタクシーを2台探して、分乗して港まで帰ろう」と相談していましたが
その中で元気のある50代男性が
「ここにいてもタクシーも通らないから、とりあえずスークまで戻って調べてくる」ということになりました。
そして、その男性が戻ってタクシーを捜してしているところに、
私達が来ないことに気づいたスタッフと出会って事なきを得ました。

なんとバスは乗った所とは違う場所で待っていたのです。
それから灼熱のアラビアの道を私達はノロノロと歩いてバスまで戻りました。
中には、杖をついて足の悪い男性もいてお気の毒でした。
この件で驚いたことは、スタッフもガイドも一言たりとも謝らなかったことです。

外国人は謝らない」のは常識です、平然とする彼らを見ていると
「日本は良い国だな」と身を持って感じました。
彼らにしたら「結局バスに乗れたのだから問題ないじゃない」ということなのでしょう。

なぜ私達だけ違う所に行ったのかは、いまだに明確な理由はわかりませんが、
たぶんスタッフと離れて歩いていた私達が、待ち合わせ場所の変更を知らなかったからでしょう。
一時はタクシーで帰船することを考え恐怖に怯えたことを思うと
彼らの態度が腹立たしく「私は英語がわからないのだから、バスへ帰ってくる時間を、はっきり言ってね。
場所も変えないで!!」と英語で強く言ったのですが、「OK。わかった」と平然としていました。

取り残された私以外の数人はカナダ人とオーストラリア人のネイティブでしたので
言葉が原因ではないのでしょうが。
私の腹の虫が収まらないまま、ツアーは次の観光地のスークへ行きましたので、
下車の際に、またスタッフに時間と集合場所の念を押しました。

それでも心配で10分置きにバスに戻って確認していましたが、
3回目に戻ったときに、バスはまたもや消えていたのです。
呆然と立ち尽くしていると、他のバスの運転手が来て
「たぶんあっちの方にいるよ」と教えてくれたので、探して見つかりましたが、
2度目なので本当に腹立たしく、怒りのやり場に困りました。

もちろんここでは、私ばかりでなくバスを求めてウロウロする客が続きますが、どの人も怒らないのです
これは、他のツアーでも経験したことですが「みんな仕方ないんだ」とすぐ諦めてしまうのか、
感じないだけなのか良くわかりませんが。

だいたい日本のように、何時集合というキマリがありません。
下車地を見たいだけ見て、そこに興味がない人は早く戻ってバスで待機していますが、
そのための不満は一切漏らしません。
我慢強いのでしょうか、のんびりのやり方が見についているのでしょうか。
日本の常識では理解できないことです。

効率、公平という感覚は白人にはないようです。
とにかく船のツアーに自分が向かないことをはっきり認識したので、予約してあったツアーの
ほとんどをこの後キャンセルしてしまいました。
 
なお帰船してから、このスタッフのお兄さんの船内での仕事を調べたら、
東欧から来た船の専属歌手でした。
歌手は、ダンスホールの舞台上で歌を歌うだけの仕事なので、気配りをしたり
客のなかには言葉の不十分な人や、足の悪い人、聞き逃した人がいることに
思いが及ばなかったでしょう。

お客に接し、話をしたり、ダンスでお客をもてなす経験豊かな
老ダンサーと大きな違いがありました。

上の写真は取り残されて途方に暮れ天を仰ぐカナダ人の男性。上品で風格ある感じの良い人でした。
彼はグリル(特等室)の客でした。1500万円を超える豪華客室の人も、
ツアーは一般客と同じ扱いで可愛そうな気がしました。
 
隣は置きざれにされてガックリと肩を落とすオーストラリア人女性。
右は憎っくきバスです。


次の下車地の博物館では、私も懲りて、早々にバスに戻りました。
早すぎてバスのドライバーは休憩中でしたが、ビックリしてドアを開けて入れてくれました。
申し訳ないのでチップをあげてしばしお喋りを楽しみました。

オマーンは90%がアラブ人ですが、東南アジア、インドなどからの移民もいます。
この運転手さんは東洋系の顔立ちなので移民なのでしょう。
片言英語で日本への質問を次々してきました。
フレンドリーで、気概のある青年でした。


車中から眺めるサラーラは空き地が目立ちます。ところどころに建設中のビル
ココナッツ、パパイア、パイナップルなどのプランテーションが目に付き、
発展途上国の勢いが感じられました。

炎天下、港に戻ると長蛇の列です。ツアーバスの帰船時間がほぼ同時のため
2000人もの人が一遍に乗船するのにタラップは2本しかないから本当に大変です。

高齢者も、身障者も、グリルの人も同様の扱い。
せめて日陰を作るテントを用意するとか、椅子を並べるなど
何とか工夫の仕方があるのでは、と毎回思う風景です。

「高齢者も身障者も大丈夫」とPRしている割にはシビアな取り扱いです。
こんなところは豪華客船QM2とはいえ、オンボロ船のピースボートと同様のサービスレベルで驚きました。


 最終更新: 2018/5/25