アメリカ旅(12) フィラデルフィア近郊のアーミッシュ・コミュニティを訪ねて

アーミッシュ(Amish)は宗教の一派で、ドイツ系アメリカ人です。

原郷はスイスですが宗教の自由を求めて19世紀初頭に、
平和主義者ウイリアム・ベンの誘いで
オハイオ州に渡って来たのが始めです。

現在ではアメリカ22州とカナダ・オンタリオに14万人がコミュニティを作って
住んでいますが、彼らは近代文明を否定して、未だに電気、水道、ガス、車のない
昔ながらの生活をしています。

しかし、ここフィラデルフィアのコミニュテイは、比較的戒律がゆるく
穏やかな妥協があるようです。

たとえば、信者は車を運転しませんが、農作物の出荷などには、ドライバーを雇って
遠隔地へ運んだり、現金収入を得るために若者は、彼らの持つ技術を生かした
大工仕事などで村外で働くケースも少なくないようです。

本来は自給自足が原則の彼らですが、自然への憧れから村の好環境を望んで、
信者以外の市民がコミュニテイの近くに移住してきて、
土地が少なくなって来ているのも1つの要因です。

カナダでは原野に暮らしているため、一般の人々との接触はなく、未だに自給自足で
文明を一切取り入れない厳しい生活をしています。

ここのアーミッシュ・コミニュティは
フィラデルフィア駅から、車で40分ぐらいのところにありました。

村の広大な田園地帯には、畑、牧場、林が広がり
絵のような美しい風景が広がります。
北海道・美瑛のようなパッチワークの光景です。
 
特に今日は長雨後の晴天とあって、村人が農作業に従事する姿をたくさん見かけました。
この中には、アメリカ国家から特別に認められた義務教育ではない学校がありますが、
勉強より農作業優先なので10歳ぐらいの少年少女たちが働く姿もありました。

彼らの生活は、勿論テレビ、ラジオもなくニュースは、村内新聞しか
情報がありませんが、世の中の出来事を知らなくても
どうということもないのかもしれません。

小さな子供たちが上手に馬車を繰る姿には、生活の担い手の一翼であるという
自負と喜びが感じられました。

男の子は地味なシャツ、サスペンダー、麦藁帽子
女の子は長い髪を後ろでひっつめてまとめて、黒いエプロンです。

既婚男性はアゴヒゲを生やし、女性はボンネット(bonnet)を被ります。
彼らの身に付ける色は地味な、白、黒、青、緑、藤色で、柄物は許されていません。
鮮やかな色柄物やベルト、ボタンなど、装飾的なものは使えません。
ボタンは飾りが無い最小限度だけが許されています。
家に鏡もほとんどないそうです。


 
観光客と馬車ですれ違うと静かに会釈する彼らを見ていると
自分が映画のワンシーンにいるような錯覚にとらわれます。

「明るいうちに必要なだけ働いて、暗くなったら寝て、自然食を食べ、
良い空気を吸って、のんびり暮らす」

そこには競争も、ストレスもなく、人間本来の自然の世界があるのかもしれません。

成人した彼らの中には、村外に出て行く若者もありますが、一般社会に馴染まず
ほとんどがUターンして来るそうです。
現代社会が反自然であるからでしょうか。それとも幼い頃からの教育によって築かされた、
価値観の違いでしょうか。

ここには、ある意味でインドの農村と類似するものを感じました。
貧しいインド農民も必要なだけの作物を作り、後はのんびり遊んでいました。

そこには効率化、高収入などという現代社会を逸脱した価値観があるようです。


 最終更新: 2016/1/29