48th ピースボート体験記 ~ピースボートQ&A篇

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ピースボートでは2年前から大型客船をリースし
船内を改造してキャビンを増やし集客数をあげて、
1クルーズ約3ヶ月半で地球を一周し、
帰国してまた2日ぐらいで出国するという
ピストン輸送で年に3回の地球一周の船旅を行っています。

従来の船旅は、豪華客船のイメージが高く
庶民には手の届かない夢の世界でしたが、
ピースボートのこの船旅により、
地球一周が身近で現実のものとなりました。

派手なポスターや新聞広告のPR作戦が功を奏して
ヤングから熟年者まで、地球一周への関心は高く、
帰国してから知・友人から幾つもの質問が寄せられましたが
その内容はほとんど同じものでした。

そこで皆さんからの質問が多かった
ベスト20をまとめてみました。

Q1、お金はいくら掛かるの?
質問のナンバー1は、やはりこの質問でした。

料金は部屋によって異なります。
一番安い部屋のタイプは、窓なし、バスなし 2段ベッドの4人部屋の1人料金138万円。
一番高い部屋は窓付き、バス付きのツインが 2人で650万円でした。
この外にビザ取得料、ボートチャージ、チップが必要です。

ただしピースボートには、ボランティア制度というものがあって乗船前にピースボートセンターで働くと時給千円に換算して旅行代金に割り当てられます。

そのため多くのヤングと、体力と時間があるペンショナー世代が利用していて、全額無料、もしくは半額無料という人がかなりいました。

また、オプションの寄港地でのツアー代金、語学スクールの授業料などは 前払いの別料金です。

全食事代金は料金に含まれていますが、アルコールや嗜好品、船内で診療を受けた診察料や、船内で服用するマラリア予防薬も別料金です。

私の場合は、早期割引を利用して、バスなし・窓無しの 一人部屋タイプで180万円(正価は200万円)、ビザ取得料・ボートチャージ・チップ料が13万円、英会話スクール授業料10万円、オプショナルツアー代金35万円、前泊ホテル代1・2万円の 計239万円を乗船前に支払いました。

オプショナルツアーは寄港地の3分の1しか申し込みませんでしたので、その他の寄港地での自由行動代、出発準備の諸費用、積み込む荷物の往復送料、横浜港までの往復交通費、船内での飲み物代を合わせると、航海の諸経費の合計金額は約260万になりました。

Q2 船はどのくらい揺れるの?
私が今回の船旅を決意する一番の不安材料は、地球を一周する船はどのくらい揺れるものだろうかということでしたし、実際に皆さんから寄せられた質問も揺れに対するものがQ1と同じくらいありました。

乗船前の説明会で主催者側は「ご心配ありません。この船は揺れません」ときっぱり明言していましたが、嘘!やっぱ当初の危惧通り船は揺れました。

横浜港を出るや否や、船は縦に横に揺れ始め、真っ直ぐに歩けないほどでした。

105日間の、3分の1は揺れていたように感じました。幸い私は、揺れに強い体質であったようで、一度も船酔いせずに過ごせましたが中には、下船まで船酔いに苦しめられた人も多く船に慣れない体質の人にとっては苦しい船旅になりました。

 

Q3 病気や怪我をしたときはどうなるの?
皆さんの関心事の、ビッグ3はこの質問で、特に熟年者にとっては大きな問題です。

当然、船には船医が同行しており、医師・看護士共に日本人です。
船内には診療所があり、午前・午後の各2時間診療に当たっています。

診療費は、日本円で支払い帰国してから保険加入者は返金されるシステムです。
航海中、2ヶ月にわたって悪性の風邪が流行って発熱や咳に苦しめられた人が多く
診療所はいつも混雑していました。

酷い船酔いによる体力低下や、怪我をした人もいました。

しかし、船内はすべて自己責任の世界なので病気や怪我をしたからといって普通の団体旅行のように面倒を見てくれる添乗員はいません。

体調が悪くなっても自らの力で、診療所に行って診察を受け、食堂まで自力で行くなり、友人に依頼して運んでもらわなければ食べ物も水も得ることはできませんので、船に乗るには、一人旅の感覚を持って自力で総てを行える、精神力と体力が必須です。

 

Q4 ご飯は何を食べていたの?
基本的には昼食と夕食は、洋食のサーブ食です。

肉か魚をソティーや揚げ物にして洋風のソースをかけたり、煮込んだりしたメインディッシュに、スープ、サラダ、デザートが付きます。
朝食は、和・洋食のビッフェスタイル。

メニューを見るとどれも美味しそうなのですが、実際のお味のほどは?

特に和食を愛する保守的な味覚の熟年男性からのクレームが多くありました。

乗客が日本人なのに和食がたまにしか出ないのが不思議ですが、クルーのほとんどが外人なので、和食を作るが苦手なのでしょう。

 

Q5 退屈しなかったの?
3ヵ月半の長い航海、この間陸に降りたのは僅か20日、ほとんど海上の生活です。

仕事もなく家事もなく、退屈するのではという心配をする方も多くいますが、私はかなり忙しい毎日でした。
しかし「辛くはないけど退屈でたまらない」という人もいました。
その、ほとんどが熟年男性でした。

毎日船内では、講座や映画、サークル活動が行われています。

その案内は毎朝発行される船内新聞に掲載されており、その中から自分の好みのプログラムを選んで参加すればいいのですが、その、どれにも興味が持てない人は退屈だったようです。

私の場合は、有料・無料の語学スクールに参加することをテーマにして、映画鑑賞や各種講座の受講、友人との交流や日の出・日に入りを見に行ったりしていたので毎日が多忙でした。

結局、日頃日本でどういう生活をしているかではないでしょうか。

退屈した日常を送っていた人は、船内でも時間をもてあましゆったりした日常を送っている人はのんびりと、忙しく活動している人は活発にと。

結局人間、船に乗ったからといって嗜好は変わらないものだということを知りました。

 

Q6 講座ってどんなのがあるの?
講座には、主催企画が、

☆お祭り(お花見、ビール祭り、感謝祭、収穫祭、トパーズ祭り等)

☆スポーツ大会(運動会、サッカー大会、バスケ祭り、卓球大会等)、

☆講演会、(反戦と平和をテーマにしたものが主で、その他、健康、旅)

☆語学(英語、スペイン語)など

参加者の自主企画は、勉強会、語学、手芸、音楽、踊り、ゲーム、県人会など多種でした。

 

Q7 ダンスパーティーは毎晩あったの?
船旅のイメージというと、ロングドレスにタキシードの正装姿の華やかなダンスパーティーをイメージする向きも多いのですが、ピースボートはいわゆる「豪華客船」ではありませんので、フォーマルパーティーも乗船中3回しか開かれませんでした。

そのパーティも1時間バンド演奏を聴きながら飲み物を一杯飲むだけのことで、食事も無し。
食事はパーティの後、いつもの食堂でとります。

会場も狭いために全参加者が半数ずつに分かれて参集ダンスフロアもバンド演奏が行なわれてる舞台前の僅かなスペースしかありませんので、踊り好きの人のとっては期待はずれの何とも物足りないものでした。

 

Q8 のんびりデッキに寝そべっていられたの?
次に、船旅に思い描くシーンはデッキチェアーに寝そべってのんびり寛ぐというものでしょうが、デッキは予想した以上に居心地が悪いものでした。

第一に天候が良い日がそんなに多くなかったことです。
風、寒さ、暑さ、揺れのいずれかの理由でデッキに長くいられませんでした。

第二は天候の良い日は、デッキチェアーの数が足りなかったことです。
たとえチェアがあっても、陽射しが強いのに陽除けもなく女性は長居できませんでした。

豪華客船には、充分なデッキチェアーとパラソルもありますが。

 

Q9 鯨やイルカは見えたの?
たくさん見えたのは、イルカです。遊び好きといわれているイルカの群れが船と戯れるように伴走したり、ジャンプしたりする姿はよく見かけました。

鯨もカップルで現れ、人間に誇示するように回転したりジャンプを見せてくれるのは感動的でした。

また、飛魚の大群も見事でした。TVなどで水面から横に飛ぶ飛魚は目にしていましたが、透明な羽を広げて高く舞うように飛ぶ大群の姿を初めて上から眺めました。

そのほか、亀、マンタ、などを見た人もいます。

 

Q10 語学スクールってどうだったの?
語学スクールには、有料と無料の2つのコースがあります。

無料のクラスは誰でも参加自由、 能力別クラス分けテストもありません。

・英語クラスが入門、初級、中級、上級の4クラス
・スペイン語クラスが1クラスあります。

航海中35日間、1講座35分授業が行われました。

スタート時には「長い航海中の時間を有効に」との意気込みで200名ぐらいの生徒が集まりましたが終了時には1割程度しか残りませんでした。

これはいつものパターンだそうです。語学の継続は難しい!

有料クラスは、受講料10万円、35日間、1日80分の授業です。

クラスは能力テストで26クラスに分けられ、1クラス6~7人に、ネイテブの教師がつきます。
日本の語学スクールとの違いは生まれて始めてABCから始める超ビギナーのヤングや熟年者が多かったことです。

この際だから、身につけようと、必死に勉強する姿を多く見かけ初心者ほど伸び率が高かったように思います。

そのためか定着率もよく、ほとんどの生徒が脱落せずに卒業式を迎えました。

 

Q11 どんな人が乗っていたの?
乗船客は、約1000名、クルーが約200名の総計1200余名。

乗客の構成は
男女比は、男性4、女性6の比率。
年代比は、若者4、熟年6の比率。

参加形態は、1人参加が8割と圧倒的に多く、夫婦が1割、その他1割が友人、親戚の組み合わせでした。
当然ながら、働き盛りの3、40代は男女共に極少数。

参加者の殆どは、リタイアして時間が出来た人が夢の実現と、休養のためと体力と時間のある若者や、したいことが見つからない若者でした。

また、ピースボートの特徴として1人参加者が多勢を占めていることにありますが、当然1人参加者は、独身者が多いのですが、配偶者がいて参加している人がかなりいることに驚きました。

これも時代の流れなのでしょうか。

クルーのうち、ブルーカラーの職種は、インド、インドネシア、中国、ブルガリア、ウクライナなど発展途上国からの出稼ぎタイプでフレンドリーでしたが、上層部のビッグショルダーはギリシャ人でとても威張っていました。

 

Q12 エンターテイメントってどんなのがあったの?
映画はシネマで毎日2本以上上映されていました。

懐かしい名画から最近の話題のヒット作品まで幅広い作品で大きな楽しみでしたが、
場所が狭く設備が悪いのでよく見えないのが残念でした。

コンサートは専属バンドによるものが、ジャズ、ビートルズ、ロシア民謡などが月1度ぐらい開かれましたが、その他は、短期間乗り込んできたアフリカやインディオのバンドと、
アマチュア乗客の隠し芸が時たまあるだけで音楽好きには物足りないものでした。

その他、アルゼンチンタンゴのプロダンサーのデモンストレーションや、プロの講談師の講談など。

エンターテイメントは期待はずれの少なさでした。

最も「お祭り」は何回か開催されていましたので広い意味のエンターテイメントといえるのかもしれませんが。

 

Q13 どんなスポーツが出来たの?
スポーツは早朝のラジオ体操、太極拳から始まり
ヨガ、ストレッチ、ボクササイズ、エアロビクス、空手、
卓球、サッカー、バスケット、バレーなど。

ダンスも社交ダンス、フラ、フォーク、ベリーダンスに
越中おわら風の盆などが、
それぞれ乗客のサークル活動で盛んでした。

その他、ジム、プールなどで楽しむ人もいました。

 

Q14 美容院や理髪店はあったの?
美容院と、理髪店を兼ねたビューティサロンがありました。

美容師と理容師を兼務するのはブルガリア美人。
日本語はまったくわからず、英語も東欧訛りがきつく、相互理解が難しいこともありましたが、簡単な注文は、手振り身振りで何とか通じさせていました。

その裏の部屋には、マッサージルームがあり
お灸、鍼、指圧などの施術をしていました。

こちらは日本人女性で、その人柄かと相まって癒しを求める人の人気がありました。
その他、小さな売店、ギフトショップ、フォトギャラリーあり。

 

Q15 寄港地では何をしてたの?
寄港地では、オプショナルツアーに参加して
観光するか、交流するか、
あるいは個人で自由行動をして観光するか、
または船でゆっくり休養するかのいずれかです。

寄港地の2日前には毎回「上陸説明会」が開かれ、
上陸地の交通状況、気候。治安の説明が行われましたが、
情報量が不十分で苦情が寄せられました。

寄港地は、貨物船が主体ですから、空港と違い観光客は少なく、
当然交通網も整うはず、市街に出るまでに時間を要するので
滞在時間が思ったより短くて
行きたいところに行かれなかったのが心残りです。

 

Q16 ホームシックにならなかったの?
船に乗って半月間は、船の汚さ、古さ、サービスの悪さ、人間関係の気疲れから多くの人が怒り、驚愕し、乗船したことを悔い、早く帰りたいと願いました。

これがいわゆるホームシックだったのでしょう。

それが、1ヶ月を超えると。
造船後50年も経つポンコツ船への諦めと慣れ、
豪華客船の3分に1の格安旅行代金への納得
既に船が出国してしまっている諦めと共に
居心地の良い人間関係も構築されてきました。

(幸せは諦めるとこから始まるとか・・。)

やがて帰国目前になると、船上生活のノウハウも
すつかりマスターして
もっと乗っていたいような気分にさえなりました。

故に、リピーターが多いことも納得です!

 

Q17 ピースボートって何?
一般の人がまず思い浮かぶのは20年前に、辻元清美議員らが「日本はアジアへ何をしたか」をテーマに、船をチャーターして世界へ平和を訴えた団体であるということでしょう。

それで、現在の観光船化?している状況を知らない人からは「何の目的で乗るの?」「ボランティア?」「平和運動のため?」「ピースボートって何?」「極左の団体じゃないの?」という疑問が多く寄せられました。

ピースボートに問うと「ピースボートは世界の人々と、国家の利害とは別に接点を形成していく非営利団体」「現在は辻元さんとは何の関係もない」ということでしたが、思想が怖いから参加しないという人がいるのも現実です。

この「地球一周の船旅」の企画は、ピースボートですが、旅行主催は(株)ジャパングレイスという旅行社が行っており、なにか問題が起きてもピースボートには責任がないという仕組みになっているようです。

船内の講座の内容はいわゆる平和運動をテーマにしたものが主でしたが、
参加は強制ではないので「思想的に賛同できないから」と
一切参加しなかった人も多々いました。

私の見たところ、乗客の過半数は保守的でどちらかといえば右よりの考え方の人でしたが
安い船旅と割り切って乗船しているようでした。

 

Q18 インターネットは繋げたの?
各自が持参したパソコンからインターネットは、繋げませんでした。

インターネットを利用したい人は、レセプションでマウスを借りてロビーに行き、設置されているパソコンを使用。

その使用時間によって料金を支払うシステムになっていました。

しかし、洋上なので繋がるまでに時間を要し、
メール1つ打つのに2千円ぐらいかかったそうで利用者は多くありませんでした。

 

Q19 帰国して一番にしたかったことは何?
やはり日本人、一番したかったことはお風呂でした。

バス付きの部屋はごく一部だったのでほとんどの人が湯船に浸かりたいと切望していました。
船ではシャワーのみ。
せせこましいスペースで、温度も低く、湯量も少ないので
日頃風呂好きでなくても、お風呂は憧れでした。

もう一つは、和食。
それもお鮨や、刺身の生ものを無性に食べたくなりました。
船では、ほとんど生ものは出ませんでしたから。

 

Q20 船に乗って良かったと思う? また乗りたい?
憧れの船旅は、予想していたものとは大分かけ離れたものでした。

ゴージャスでもなければ、のんびりゆったり寛げる空間も、時間もありませんでした。
まして過ぎ去った人生を振り返って思いノスタルジアに浸る余裕もありませんでした。

でも、船旅ならではの楽しみ方を味わったことと、少女時代からの夢の達成、グルッと地球を一周するという得がたい体験をした成果は大きかったと思います。

「では、もう一度?」の問には、現段階では即答できません。
やはり、105日間はあまりにも長い!のです。
日本を離れるリスク、残された人生行路を鑑みるとき他にやることがあるのでは、という思いにも駆られます。

でも、船旅には何ものにも変え難い魅力があることも事実です。
何時の日か、また挑戦するときが来るかもしれません。

きっとそのときは今回よりも体力も気力も落ちているでしょうからもう少し設備のいい船で安らげる船旅をしたいとは思っていますが………。


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 最終更新: 2016/1/13