幼馴染の幸せ

幼稚園以来の幼馴染Tちゃんの家に招かれて横浜まで遊びに行きました。
夫の事業の失敗や、自己破産で何もかも失ったTちゃんですが、
生活力がなく次々に問題を起こしていた夫も病死して、
今ようやく新しい生活がスタートしています。

経済的にも、愛情にも恵まれたお嬢さん育ちのTちゃんと、
同じくお坊ちゃん育ちのボンボンとの結婚は、悲惨なものでした。
援護していた双方の両親亡き後は、絵に描いたような転落の一路をたどり、
仕事もお金も家も、総てを失ってしまいきました。
息子さん2人を立派に成長させたのだけが救いです。

今は、築38年という古い小さな団地に一人暮らをしていますが。
数十年ぶりに借金取りに怯えることもない
穏やかな生活を取り戻していて私も安堵しました。

とはいえ国民年金だけの一人暮らしで、家賃を支払っての生活は
かなり切り詰めた厳しいものです。

部屋には息子さんが「熱射病になるといけないから」と無理に取り付けた
新しいエアコン以外の電化製品は、古いTVと小さな冷蔵庫、
暖房が壊れてただの台となったコタツのみ。

そのエアコンも電気代がかかることと合わせてアンペア数が15と低いために
すぐにブレーカーが上がるのでほとんど使用していないとか。
洗濯機も、箪笥も本箱も下駄箱も、座布団も家具らしきものは何もありません。

ただし、ガランとした部屋はピカピカに磨き上げられいました
綺麗好きなことは知っていましたが、これほどまでに磨かれていたのには驚きでした。
ステンレスやアルミ部分は、顔が映るほどに新品同様に光り輝き
浴槽や洗面台などもツルツル光り、壁も床も染み一つありませんでした。

箪笥がないので、押入れは段ボール箱できっちりと仕切りがつけられ
小物や衣類が収められて、寸分の隙なく整えられていました。
まさにTVに登場する「収納名人」の技です。
ガサツで大雑把な私にはただただ感心するのみ。あまりに凄すぎて参考にもなりません。

今まで息子さん一家には多大な迷惑をかけてきたので、これ以上は自力でと
頑張っている様子がひしひしと伺えて切なくなります
無駄な出費は抑えているので、もちろん新聞も本も雑誌も購入はできませんが
近くの図書館まで出かけて読んでいるので、世界情勢から経済、芸能と幅広い知識を持っています。

そのうえTちゃんは元々知的レベルは高く、私と同じくラジオのヘビーリスナーなので話題には事欠きません。
昔話に始まり、お互いによく知っているの家族の話、最近のマスコミ事情など・・・。

Tちゃんの一生は、親に仕え、夫を愛し従い、今は息子さんの指示に従う生活です。
明晰な頭脳の持ち主ですが、それをお金に買える才、いわゆる生活力に欠けていたのかもしれません。
いえ、昔の価値観の教育の殻を破ることが出来なかったのでしょう。
 
「ここは、古くても、日当たりが良いし、毎晩よく眠れるので今は幸せ」とTちゃんは明るく笑います。
この笑顔こそTちゃんの天性の財産
また苦労してきたTちゃんは優しい! 暖かい人を包み込むような心遣いには、あり難くて涙がこぼれそう。

私を招くことが亡きご主人の遺言だったといいます。
私のファンだったご主人との約束を果たし、私も肩の荷が下りた気持ちです。
「もっと話したいから泊まってって」と懇願されましたが、また次回を約束して辞しました。
幼馴染との会話は、懐かしくて心が安らぐ1日でした。


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 最終更新: 2016/3/29