浅草に感激しなかったカナダ人夫妻

昨年世界一周したQM2でお世話になったカナダ人夫妻が、今年もまた世界一周クルージングをしています。

今回は、1月にQM2に乗船してアメリカ・ニューヨークを出航、南米、欧州、アジアをぐるりと回り、
2月に香港で下船。(QM2は、今年も2月に横浜に寄港)
香港で40日間ホテルに滞在して、ゆっくり楽しみ、それからホーランド・アメリカ号に乗り換えて、
日本にやって来るのです。

この船は鹿児島、神戸、横浜、函館に寄港して、ロシア2港を回り、太平洋を横断
バンクーバーを経由してロスまでのクルージングです。
私にも香港から、乗船するようにとのお誘いがありましたが、去年乗ったばかりでそんな気分にもなれず
お断りをしましたので、せめてと思い横浜まで出迎えることにしました。

まず、大勢の人ごみのなかで無事に出会えるかが問題
こちらから連絡が出来ないので一方通行だからです。

次に、日本に来る以上は喜んで帰っていただきたかったのですが、喜ばせられるかどうか
更に、一番心配なのは、横浜港に5時までに送り届けられるかです。
もし、出航に遅れた場合、函館港まで送り届けなければなりませんから。
不測の事故を想定すると、横浜にいたほうが安心なのですが、
どうしても大東京・花のお江戸を見せてあげたいのです。
昨年、成田空港に到着して、森林に囲まれた成田空港周辺を見て「ここが東京?」と
明らかに失望していたからです。

「千葉なのに東京」という名前が付いている成田空港は、
外人に理解してもらうのが、いつも煩わしいのです。
そんなことから、外人観光客に詳しい友人からも情報を集めたり、ガイドブックを購入したりして、
万端の準備をして備えました。

そして今朝は5時起床。体力の温存をはかるためにグリーン車に乗って横浜まで、出かけました。
(残念ながらラッシュ時とあって、座れませんでしたが・・・)
横浜駅では、観光案内所に立ち寄り、英語の地図や、パンフレットなどを集め、
タクシーに乗って大桟橋まで行きました。
桟橋構内では、私が目立つために着ていた真紅のコートが、功をそうして
向こうから発見してもらい感激のご対面
ヤレヤレこれで第一関門通過です。

横浜での希望を聞くと「特になし」ということなので、浅草まで出かけることにしました。
浅草までは4つのルートがありますが、乗り換えないで行ける京急を利用することにします。
京急は、品川から地下に潜るので、車窓からの東京見物が出来ないのが残念ですが
電車に乗り慣れない人を連れるには安全第一に考えました。

浅草の日本情緒に興味なし!
東京滞在時間は、2時間しか取れないので、
賑やかで日本情緒があふれていて、歩いて散策できて、日本の味が楽しめる
浅草を選びました。
横浜から1時間、電車に揺られて浅草に到着しました。

浅草界隈は、まだ桜も咲いていることもあって、かなりの賑わい
日本人の観光客や修学旅行の団体ばかりでなく、
外人観光客も多く、人力車も風情を盛り上げていました。

ところが、私の意に反して、夫妻は一向に感激しません
仲見世の賑わいも、雷門の大きさにも、浅草寺にも
お線香の煙にも、軽く「フフン。フフン」というばかり。
観光客が競って立ち食いを楽しんでいる、お団子、せんべい、揚げ饅頭を、
薦めても「お腹が一杯だから」と興味を示しません。仲見世のお土産屋さんにも関心がないようです。

唯一興味を持ったのが、おみくじと芸能人の撮影風景でした。
そのうえ楽しげに引いた「おみくじ」は、出たのが「大凶」という不幸。
内容を説明しろといわれて、私が口ごもると
勘の良い夫人はサッと裏を返すとさすが浅草、英語の説明があったのです。
万事休す
黙って話題を逸らしましたが、もちろん夫人は不機嫌になりました。

さて、いよいよランチタイムになりました。
昨年QM2では、アジアンデーで天麩羅もどきを食べて「テンプーラ!テンプーラ!」と
喜んでいたので、浅草で本場の天麩羅を食べさせてあげようと計画していたのですが、
天麩羅は「脂っこく体に悪い嫌だ!」と言い出したのです。
確かに40日間のグルメ香港暮らしで、かなり太ってしまっていました。

そして、日本に来たからには「コーベ・ステーキを」と、言われたのでビックリ!
まったく想定外のことでした。
確かに「コーベ・ステーキ」は、欧米人にとって憧れの食べ物。
伝説的なおいしい肉料理なのです。

でも、さて困りました。どこにステーキ屋さんがあるのかわかりません。
浅草で目に付くレストランは、天麩羅、鮨、蕎麦、すき焼き、と和食ばかり。
時間があったらネットで調べることも出来るのですが、時は刻々と過ぎていきます。
そこで思い余って、雷門前の交番に飛び込みおまわりさんに相談しました。

外人慣れしている警官3人が話し合ってくれましたが「エッ!ステーキとは!この近くにはないね」と
驚いていました。
私も、ようやく諦め彼らを説得。
脂っこくない「寿司屋」に入ることにしました。

ここでも、回る回転寿司に驚くかと思いきや「シンガポールで見た」と涼しい顔。
世界中を旅している人は、一般の観光客の常識が当てはまらないのです。
そして、毛がに、イクラ、生たこの吸盤、ウニ、生きた海老、貝と高価なネタを次々平らげ度肝を抜かれました。
回転寿司といえど、ここは少し高級店。シンガポールとはお値段が違うのですが・・・・・。
「たぶん味と鮮度は世界一」と、私が信じる日本のお鮨の繊細さは、
彼らに理解できたでしょうか?

帰路、仲見世でお孫さんへの浴衣をプレゼントの買い物をして浅草散策は終わり、
また京急に乗って無事に横浜まで帰り着きました。

4時過ぎ、大桟橋まで送り届けたときは、体中の力が抜けてへたり込みたい気持ちでした。
日本人でさえ驚く浅草の賑わいも、確かにあの香港に比べると、
人ごみも、華やぎも、店の数も、高層ビルも、沈んで見えるもやむをえないでしょう。

1月からいろいろ考えていた歓迎会は、夫妻の希望をかなえられず、
お互いに失望が残ったのが返す返すも残念です。

でも夫人は東京見物よりも、私との再会に興奮。
6時間も嬉しそうに話し続けていたので、それはそれで良かったのかと思っています。

私が高い(?)月謝を払って英会話を勉強していることが「もったいない無駄遣い」と指摘。
「そのお金でカナダに来て、自分の家に住んだら安くて上手くなる」との有難い提案。
もう少し、若かったらば、トライする価値はあるでしょうが、今となっては、時既に遅し・・・。

スカーフ、ブレスレット、鮭缶、本などたくさんの重たいお土産を頂き、再会を誓ってお別れしました。

横浜港・大桟橋のホーランド号



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 最終更新: 2016/10/15

浅草に感激しなかったカナダ人夫妻” へのコメント

  1. 外国の方を案内した経験はありませんが細かい貴方の心配りに頭が下がるおもいです。この配慮は旅慣れた貴方だからできるのではないでしょうか。本当にお疲れさまでした!

    1. この話を、2人のアメリカ人に話したところ「僕だったら嘘でも喜んで見せたのに、せっかくもてなしたのに可哀想だったね」と、もう1人は「いろいろなことを想定しないで計画したあなたが悪い。僕だったら10通りを考えて、相手の好みに合わせたのに」と厳しいご指摘。外人を良く知る息子は「浅草が興味ないとは珍しいねぇ!元々感激しないタイプの人じゃないの?それにしても世界中を知っている人の歓迎は難しいね。でも迎えに出たことを喜んでくれたのだから良かったのじゃないの」とのコメント。

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