ニューヨークで毅然と生きるK子さん

K子さんは、ニューヨーク在住の日本女性です。

四十年前に日本を離れました。
NYには頼れる身内もなく、十分なお金もなく(当時は持ち出し制限あり)
特別な資格も持たないなかで、ひたすら働き続け
永住権を取得し、定年でリタイアしました。

そして、いまアメリカ人にとってもステイタスな
マンハッタン・アッパー・ウエストサイドの庭付きのアパートに優雅に暮らしています。

モノトーンの色調に洗練されたお部屋はインテリア雑誌のグラビアのように
無駄なく整えられいて、庭にはリスが遊びにきます。

いまK子さんは、オペラやバレエの鑑賞をしたり
クラッシック音楽のコンサートに行ったり、美術の勉強をして過ごしています。

特に、美術への造詣は深くメトロポリタン美術館ではボランティアもしています。
毎年1度はヨーロッパ諸国の美術館を回ったり
集中講義を受けたりして勉強に余念がありません。

私と知り合ったのも、チェコでの美術館でした。
K子さんの話す日本語は上品で美しく、小津安二郎監督が描く
世界の古き良き時代の日本人を感じさせ、
私が使う和製英語は訝しがられ、激しく変わった最近の日本の文化や風潮は理解できないようです。

K子さんと話していると昭和30年代の日本が懐かしく、心地よく思い出されてきます。

K子さんは、いまのニューヨーク生活を愉しみ、日本に帰りたい気持ちは無いと云いつつも、
「お墓には母と一緒に眠りたい」からと米国籍を取る事を拒んでいて複雑な心境を覗かせます。

K子さんは渡米への経緯について多くを語りませんが、もし戦争がなかったならば、
また違った人生があったのかもしれません。

直向きに生きるK子さんにお目にかかる度に、怠惰に、安穏に生きてきた自らを恥じ、
改めて学ぶことと真摯に生きることの大切さを教えられます。

上の写真は建築後100年を越すアパートの前に立つK子さん。
後ろはセントラルパークです。


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 最終更新: 2016/5/16