船で華僑を学ぶ






デッキから昇る太陽を見るのが大きな楽しみでした。

美しい日の出というのは週に1回ぐらいしか見られ見られませんでしたが、
強風で飛ばされそうになりながら「今日こそ」と期待をこめて
ほとんど毎朝デッキに上がっていました。


上はわが愛するフローレンス夫妻
物静かで穏やかなハズバンドとわがままで行動的なFチャンの組み合わせですが
肝心な実権はハズバンドが握っていました。
強く見えても夫に従うのは、やはりアジアの女性です。











上の写真は、仲良くなった友人の一部です。

上からアメリカ人(フロリダ)、ドイツ人(ハンブルグ)
ドイツ人カツプル、スイス人夫妻
以上パーティ会場で

アメリカ人(フロリダ)、アメリカ人(カルフォルニア)
ギリシャ人の夫とアメリカ人(ニューヨーク)の夫妻と
フランス人の夫妻
オーストラリア人グループ、

下はブラジル人の友人同士、右はドイツ人。
今夜、船での友人フローレンスにお礼の電話をしたところ
「来週の日曜日成田空港に行く。成田で1泊した後一緒にマレーシアへ行こう」という
早急なお誘いです。

いつでも強引で言い出したらきかないフーちゃんですので、とりあえず成田空港まで出迎えて
JALホテルで一緒に1泊するところまでは同意しましたが、
長旅を終えて帰宅して僅か2日目ですので
いくら旅好きの私でも、すぐに海外旅行に行く気分にはなれません。

フーちゃんは、マレーシア生まれの中国人。結婚後カナダに移住して50年、
3人の子育てを終え、もっか悠々自適にシニアライフを楽しんでいます。
英語もほとんどわからなかったフーちゃんが、カナダの白人社会のなかで生きていくことは
どんなにか多くの苦労があったことでしょう。

フーちゃんの言動を見ていると中国人の逞しさ、強さ、粘り強さに圧倒される日々でした。
世界中を闊歩する中国人の評価はTV、新聞、書籍などから、多くの知識を得ていました。
また、中国に留学した友人達、中国人と共に働いた体験を持つ友人や親族達からも
華僑に対する評価は聞いていました。

こぞって彼らが言うことは同じで「どうしても中国人は好きになれない。中国人には心を許せない」
というものでした。
そんなことから、私も始めは警戒してフーちゃんと付き合っていましたが、
時間を重ねるうちに、フーちゃんの魅力に惹かれて行きました。

フーちゃんの、行動力、優しさ、暖かさ、頭の明晰さです。
不可能を可能にもする粘り強い底力は反面、
周囲をタジタジとさせる強引さ、あつかましさ、頑固さには、
辟易し、時には音を上げて、エスケープしたことも数回ありした。

しかしなぜか私を特に気に入り、常に追い求められているうちに
結局フーちゃんに取り込まれてしまったのかもしれません。
QM2という白人社会のなかでは
黄色人種は固まって生活した方が楽という華僑のベーシックな考え方に基づくものなのです。
特に旅の後半には一層親密となり、1日の大半の行動を共にするようになっていました。
もちろん強引な中国人と付き合うためには、こちらにも相当な覚悟が必要
嫌なことには「NO!」「NO!」と大声でい続ける根性がなければなりません。
気弱な?私は何回も負けてしまって、心ならずも従ってしまう場面が多々ありました。

でもフーちゃんには、多くの場面で助けてもらいました。それは言葉の問題です。
ネイティブの発音は聞き難く、また使う単語も難解なのですが、
成人してから学んだフーちゃんの英語は、単純明快、ゆっくり喋ってくれるので
ほとんどを理解することができたのです。

これは、ドイツ人、フランス人、スイス人、ギリシャ人などのヨーロツパの国の人も同様で
ゆっくり語り合うことができ、多くの友人を得ました。
もちろん船内では世界中の人々との出会いがあり、気が合って友達になった人もいる反面、
人種差別から白眼視したり、無視した人もいました。

でも、きっとこれが世界一周旅の醍醐味なのでしょう。
単純な観光旅行で通り過ぎるだけの旅とは違い
生活して世界中の人と交わることは、今まで想像できなかったことを体験し、
色んな種類の人と出会うことなのだと思います。

私から離れようとしないフーちゃんに「私のどこがそんなに好きなの?」と聞くと
「インディペンダントでいつも明るくて積極的なトンボーイ(tomboy」と答えました。
トンボーイとはお転婆という意味です。
当たっているかどうかわかりませんが、私の一面ではあるのでしょう。
フーちゃんとのお付き合いは、今後どうなるかわかりません。

今回のマレーシア行きも、ただ単に、すぐに私に会いたいという
突拍子もない思いつきから出たのでしょうが
たぶんご主人からクレームがつくような気がします。
でもこの先、2度と会うことが、なかったとしてもフーちゃんから学んだことは大きく私の財産になったと考えています。


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 最終更新: 2017/8/16